大阪IR建設地の土壌対策費をめぐり、市民らが住民訴訟へ

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大阪府・市が誘致を進めるIRをめぐり、市民らが事業者との定期借地契約の差し止めを求めて市を提訴しました。

市民らは、建設地となる夢洲の土壌対策費を公費から支出することは違法として住民監査請求をしていましたが、合議不調となったことから訴訟へ踏み切ったもようです。

監査請求は「合議不調」、市民らは契約差し止め求め提訴へ

2021年12月、大阪市はIRの建設予定地である此花区の人口島・夢洲の液状化や土壌対策費として、約800億円を公費で負担することを決定。

しかし、事業者と締結した基本協定書では「今後、費用が増大する恐れがあり、追加費用も市が際限なく負担するような内容に読み取れる」ことから地方財政法などに違反するとして、市民ら5人は2022年5月に住民監査請求を行いました。

大阪市の監査委員は7月、意見が折り合わなかったとして「合議不調」の監査結果を通知。

この結果を受け、市民らは7月29日に事業者へ用地を貸す契約を結ばないように求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。

提訴した市民は「自治体が進めるプロジェクトとしては詰めが甘く疑義が大きい。行政の暴走に司法がストップをかけてほしい」と話していますが、その一方で大阪市はこの訴えに対し、「訴状が届いておらず、内容を承知していないためコメントは控える」としています。

説明会実施も懸念拭えず、住民合意が引き続き課題

大阪府・市は8月17日、市内でIRの事業内容に関する住民説明会を実施。

国への区域認定申請後は初となるこの説明会では、IRによる経済波及効果や関西圏の国際競争力の向上などのメリットが重ねて強調されましたが、参加した住民からは周辺地域の治安悪化を懸念する声も聞かれました。

説明会はIRに対する理解促進の一環として行われましたが、7月にはIR誘致の是非を問う住民投票条例案が否決。

住民投票の実施を求めて約19万人分の有効署名を集めた市民団体らは次の活動を模索するなど、大阪府下では依然として反対の動きが続いています。

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