IR事業者選定(RFP)新型コロナ影響・大阪は万博前開業を棄却 和歌山は予定固守

現在、世界的に流行している新型肺炎(COVID-19)によって経済活動や社会活動が停滞しており、その影響は日本にも大きく及んでいます。
その波はIR業界にも支障を来し、当初予定していた「IR事業者選定(RFP)」や開業時期のスケジュールを左右する事態となりました。

大阪では、新型コロナウイルス感染拡大による社会活動停滞の影響を受け、事業者選定のスケジュールが延期されることを発表。

またIR施設の開業予定についても、期待されていた「大阪万博が開催されるまでに開業」という目標を断念せざるを得ない事態に陥っています。
今回の局面を迎え、開業時期の再設定もなされる運びとなりました。

そんな中、和歌山県・仁坂吉伸 県知事は当初の予定通りのスケジュールでIRの事業者選定を行っていく意向を示しました。

【大阪】コロナの影響受けスケジュール延期・万博間に合わず

3月27日、大阪府IR推進局は新型肺炎を考慮し、実施方針案と事業者選定の募集要項におけるスケジュール修正を行いました。

変更内容は以下の通りです。

<事業者選定>

  • 書類提出期限:4月→7月
  • 選定時期:6月→9月

<事業者への土地引き渡し>

  • 2021年秋→2022年春

※開業時期の期限は2026年度末

万博との相乗効果の期待を見込んで「大阪万博前の開業」を目標としていましたが、この修正をもって目標を断念し、条目を削除する旨となりました。

大阪府・吉村洋文知事は、

「感染拡大で情報のやり取りが停滞し、米国の経済活動も制限されている。普段のスピード感では難しい。」
「MGMリゾーツ・インターナショナル側から、提案書提出期限を延期するよう要望があった。」
「経済効果は停滞するが、この状況では仕方ない。」

と、現状では予定通りの進行は困難であることを示しました。

大阪の事業者選定(RFP)に参加中の企業は、MGMリゾーツ・インターナショナルのみ。
唯一の事業主候補から提案書の提出期限延期を求められているため、事業者選定の延期を余儀なくされています。

そして10日後の4月6日には、大阪市の松井一郎市長が「事業者選定(RFP)の再延期」、「開業時期の再設定」について言及しました。
「新型肺炎収束の目途が立ち次第、開業時期の検討を進める」と述べ、大阪府のIR施設開業は当面見通しがつかないことが発表されました。

【和歌山】当初のスケジュールを堅持しIR事業者公募選定を開始

新型肺炎の影響を大きく受け、大阪での事業者公募や開業時期がずれ込むなど、IR業界にも横やりが入る状況です。
そんな渦中で、和歌山県は当初設定されていた予定通りのスケジュールを固守しています。

3月30日、和歌山県はIR事業者公募選定(RFP)を開始し、同時に有識者等からなる「事業者選定委員会」の設置・公開をしました。

和歌山県・仁坂吉伸県知事は、

「国がスケジュールを変更しない限り、予定通りするしかない。」
「今から公募を始めないと間に合わない。」
「今後、国のスケジュール(※)が変われば、選定日程もずれこむ可能性もある。」

と所見を述べました。

また和歌山IRへの参入には、これまでにバリエールグループ(フランス)、サンシティグループ(マカオ)、ブルームベリー・リゾーツ(フィリピン)が参入の意欲を見せていたため、事業主の有力候補となる可能性があります。

事業者が来日しにくくなる等の影響は受けるものの、電話やメールを使って公募作業を行えば実現可能としたうえで、2025年4月の大阪万博開幕前にIR事業開始を目指しています。

※<国のスケジュール>

IR区域整備計画
申請受付期間 :2021年1月4日~7月30日(2019年11月19日基本方針案による)

和歌山県のIR参入はもともと、大阪からのアクセスが容易であり、大阪万博そして大阪IRとの相乗効果を狙える、というメリットも踏まえた計画でした。

大阪IRにおけるスケジュールが遅れをとっているなか、このまま和歌山がスケジュール通りに進行すれば、大阪の開業に先行して誘致が進むことになります。

和歌山県が「2025年春」という最短での開業を目指すのであれば、現在の厳しい社会情勢とともに、大阪との相乗効果を狙えなくなってしまう状況も乗り越えなければなりません。

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