福岡市・青年会議所からIR誘致を求める声 長崎、北九州への影響は?

これまでIRに関して動きのなかった福岡市ですが、9月30日、福岡青年会議所は福岡市内で開催された「九州IRシンポジウムin福岡」において、IR誘致を求める提言書を提出する考えを発表しました。

福岡市内へのIR誘致の候補地は「西戸崎・志賀島」「九州大箱崎キャンパス跡地」「博多港中央埠頭」「小戸・能古島」の4地区が挙がっており、福岡青年会議所の岩木勇人理事長がIRの要点および今後の方針について説明しました。
提言書は市や九州経済連合会、福岡商工会議所などに提出予定で、ホームページ上でも公開されています。

【→福岡青年会議所「福岡IR賛同サイト」

ただし、現時点で福岡市においてIRに前向きなのは、主に福岡青年会議所のみ。
今回の発表を受け福岡市の高島市長は、議論することには意義があるとしつつも、「現時点でIR誘致は考えていない」「誘致合戦はすでに始まっている。ギャンブル依存症などの課題も今考えるような状態になく、時間的に厳しい」とメディアにコメントしています。

現在、九州でIR誘致の動きがあるのは長崎・佐世保市と福岡・北九州市ですが、ここに新たに福岡市が入ってきたことによって状況はどのように変わってくるのでしょうか。
長崎と北九州市の最近の動きをまとめて見ていきましょう。

長崎・佐世保 IR事業提案募集の手続きを開始

長崎県は先日、IRの候補地となるハウステンボスの土地約30平方メートルを205億円で売買予約する契約締結に同意しました。
これにより長崎に誘致が実現した際には、選定した事業者に売買することになります。

県は2020年の春に始めるIR事業者の選定に向けて、10月1日から事業計画提案の募集を開始しました。
今後は公募から選定した事業者とともに区画整備計画を提出し、国の認定を受ける必要があるため、長崎県はそれに向けて、ギャンブル依存症対策やインフラ整備を課題に挙げています。

北九州 利便性の高さに海外IR事業者が関心

長崎で「オール九州」の構図が固まりつつあったところで、IR誘致の動きを見せ始めたのが北九州市。
IR誘致に関心を示している一方で、北橋健治・市長は誘致に対してニュートラルで慎重な姿勢を保っている模様です。

海外の事業者からは、政令市であり、アクセスが良く、かつ単独で政府にIR区域整備計画の申請をすることができるなどといった点から、北九州市は注目を集めています。
9月21日に行われた海外IR事業者の記者会見では、「THEチームIRジャパン」という香港の福通株式会社、米国コンサルティングのThe Innovation Groupで形成するグループが、事業計画や意欲をアピールしました。
九州と本州の接続点に位置する北九州市は、外国人観光客を中国・九州地方に引き寄せ、周遊させるゲートウェイの役割が期待できるとして、8月にも別の香港IR関連事業者が視察に訪れています。

北九州市で有力候補地とされているのが、24時間空港と新幹線駅を持ちアクセスのよい、小倉南区の空港島。九州の東側に位置することから「利用者が増えれば東九州新幹線導入にもつながる」と期待されています。

これまで表立ってIR誘致活動を行ってこなかった福岡市ですが、今後活動を進めていく中で経済界、議会の合意を得るために少しづつ環境を作っていく必要があります。
いち早く誘致活動を行っていた長崎に比べると北九州、福岡は少し出遅れた感がありますが、ここから誘致に向けていかに機運の醸成を図るかがカギとなりそうです。

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