マカオ政府がゲーミング法改正案を公表。カジノ規制強化の方針
マカオでは2021年中のゲーミング法改正が予定されており、9月14日の記者会見にて改正案の詳細が公表されました。
ゲーミング法とはカジノの経営ルールを定めた法律のことで、今回の法改正ではカジノ業界の健全な発展を目的とし、規制強化の動きが進んでいます。
改正案の内容は、「カジノ経営権契約(コンセッション)の見直し」「監理組織の大幅増員」「政府による監視強化」など。
マカオでは、政府とコンセッションを結んだ事業者のみがカジノ運営を許可されていますが、現状のコンセッションは2022年6月をもって期限切れとなります。
マカオ政府は新たな契約を結ぶにあたり、カジノ規制を見直す必要があると判断し、法改正に向けた動きが始まりました。
政府は6月18日、ゲーミング業界を監理する「マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)」の組織及び運営に関する法改正案について、審議が完了したことを発表。
以降は改正案について発表がないままでしたが、今回の記者会見にて初めて詳細が公表されました。
サブコンセッション廃止により、カジノ運営に変化がある可能性
今回のゲーミング法改正案の中には、コンセッション(経営権契約)の見直しが含まれています。
現在マカオ政府と正式なコンセッションを結んでいるのは以下の3社。
- ギャラクシー・エンターテインメント・グループ
- SJMホールディングス
- ウィン・マカオ
さらに上記の会社と契約(サブコンセッション)を結んでいる企業が、サンズ・チャイナ、MGMリゾーツ、メルコリゾーツの3社です。
改正案ではサブコンセッションの廃止が提案されていますが、新しい契約システムがどのようになるか、具体的に何社と契約を結ぶのか等の詳細は明らかにされていません。
コンセッションの見直しにより、現存するカジノ施設の運営面や、カジノ施設数の増減等に影響が出る可能性も考えられます。
カジノ監理組織の大幅増員、ゲーミング活動監視の強化も提案
マカオのゲーミング法改正案の中には、サブコンセッションの廃止のほか、以下の内容も含まれます。
- カジノ監理組織(DICJ)の大幅増員
- 政府によるゲーミング活動監視の強化
今後カジノ施設数が大幅に増える可能性を見越し、DICJの人員は現在の192人から、459名まで増員する見通しです。
ただし、マカオ政府が公務員総数を抑制する方針を固めていることもあり、実際の需要に応じて段階的に増員が行われる予定です。
政府はゲーミング事業者の監視強化のため、コンセッション保有者などに対し適正な試験を実施することも提案。
さらに、政府代表者をコンセッション保有者に出向させて直接監督し、管理の強化を図ることも想定されています。
マカオ経済財政庁の李偉農(Lei Wai Nong)長官は、ゲーミング法の改正には「社会的責任の強化」「非ゲーミング要素の拡大の奨励」「健全なゲーミング業界発展のための規制強化」「法令違反に対する法的効果と制裁の一致」の4つの主軸があると述べています。
今回の法改正が、マカオのカジノ業界発展のカギを握ることとなるでしょう。