「大阪IR・カジノ開業で一定数の依存症患者が出る」と専門医が指摘

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「大阪IR開業によるギャンブル依存症増加は避けられない」と専門医が指摘

大阪府・市がカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を目指すにあたり、ギャンブル依存症対策の強化を求める声が各界から挙がっています。
長年ギャンブル依存症対策の治療にあたっている、久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の松下幸生院長は、「IR開業にあたり依存症患者が一定数出ることは避けられない」と話しました。

ギャンブル依存症の治療・対策の現状

ギャンブル依存症は、薬物のように特有の身体的変化が起こらないため、早期発見がしづらいとされています。
現時点でギャンブル依存症に有効な薬も開発されておらず、カウンセリングなどの心理療法で地道に治療していくしかありません。
松下院長は、「ギャンブル依存症の早期発見やその後の診療体制の整備とともに、カジノ内での取り組みを含め、予防も含めた対策が求められる」と話しました。

政府も依存症対策については注視しており、4月に大阪のIR計画を認定した際も、「ギャンブル依存症について実効性のある対策に取り組む」ことを条件としています。
大阪府・市は計画認定を受けた後、依存症対策を本格化するため、IR開業までに設置を予定している「大阪依存症センター(仮称)」の機能について有識者会議を開き、議論を交わしました。
2024年夏ごろまでには依存症対策拠点の運用方針をまとめるとしていますが、現時点ではまだ実効性が見通せていない状況です。

吉村知事「対策を徹底すれば、依存症患者は今より減らせる」

一方で大阪府の吉村洋文知事は、5月にテレビ出演した際、「依存症対策を徹底することによって、むしろ依存症の方を今より減らせると思う」と発言しました。

吉村知事は、「日本にはパチンコ、パチスロ、競輪、競馬などのギャンブルがあり、依存症も既にある。IRの導入をきっかけに、国を挙げて依存症対策に取り組むべき」と話したうえで、具体的な依存症患者の割合を数値で示しながら対策をとっていく方針や、若年層への周知・啓発活動も徹底することを断言しています。

IR開業にあたっての依存症対策としては、「週3回・月10回の入場制限を設ける」ことや、マイナンバーカードやパスポートを使用し、「依存症であることを本人、または家族が認識した場合は入場を禁止する」などの取り決めが行われています。

しかし入場制限についても、「月10回行く時点で完全に依存症なのではないか」と疑問視する声が挙がっており、今後早期に依存症対策の詳細を公表し、住民の不安を軽減していくことが求められます。

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